赤い半纏
「悪いのですが・・・・私、お付き合いしている方がいると何度も言ってますよ」

「嘘だね。この学校でおまえと仲良く話している男子なんて一人も見たことがないぞ。もしも、他校にいるなら・・・・・俺が丁寧に挨拶してくるけど?」

相変わらず金髪頭が、私を挑発してくる。周りにいる茶髪や、銀髪はただ金髪の様子を見守るだけだ。

世間では金髪は珍しくないことだが、この村には金髪頭はこいつしかいない。
たぶん他の若者が金髪に染めたくても、この金髪頭にいじめられるからだろう。

そういう意味でいえば、この村の長のような存在である。

まぁ、染めるのをさぼってプリン頭になってるから金髪なんてかっこいい言葉がまったく似合っていませんけどね。



「いますよ。ちゃんと動き盛りの男の子がね」

「へーぇ。動き盛り?男の子?何、あんたショタ?じゃ、俺ももっと子供っぽく悪がきにならねーとだめかな?」

周りの金髪の子分達がぶはっとふきだす。

シルバーのアクセサリーやチェーンが彼らの体の上で音をたてて鳴る。

結構、いい音でるんだよね。アクセサリーって。
・・・・・ま、私はめんどくさいからつけなくていいけど。




金髪がさらに顔を近づけてくる。ピアスが揺れてきらきら光る。

「あのな、俺は本気なんだ。何度もそうやってはぐらかされたが、俺は諦めないからな。絶対、ふりむかせてやる」

瞳の中で、何かが揺れている。上手くいかない怒りと、どうしようもない恋心。



わかってる、あなたは本気なんだよね。そんなにちゃらちゃらしてても。

でも、答えられない。


だって、私を見てるのは見た目だけでしょ?

顔、頭、体・・・それだけでしょ?


誰も私を視てはくれないの?
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