赤い半纏

木造の建築物。

簡単に言ってしまえば、古い校舎。

先生は全員で6人。生徒は全員で60名。

校舎の広さだけが無駄に目立つ。家の中で慣れてるから、むしろ好きな環境である。



先ほど私は金髪率いる不良組に絡まれたので、とりあえず裏庭に逃げてきた。

「わかったわ、本気なのね。なら私にも考える時間をちょうだいー」とか言って、金髪を困らせながら逃げてきた。
相変わらず、ずるい女である。そしてとっくに授業が始まってるだろうが、保健室に行ったことにしてお休みだ。

え?優等生じゃないって?そう、違うけど何をしたって「お嬢様」にしか見えないみたい。みんな重症ですね。



「あれ?そこにいるのは徳大寺さん?授業はもう始まってますよー」

裏庭の花壇の方からとぼけた声が聞こえる。誰だかはもうわかった。

「はい、少し頭が痛いので広大な田んぼを見て心を休めようかと」

そう言うと、スコップを持って手をどろだらけにした男の人が、花壇の方から出てきた。
やっぱり、先生だったか。
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