赤い半纏
「そこからだと、木が邪魔で田んぼは見えないはずですが。まぁ、頭がいたそうなのは嘘ではなさそうですから、何もいいませんが」

先生は言うと、私のとなりに立った。
異様な肩の広さだからか、肩が私の頭にあたる。

「徳大寺さん。最近元気もないようですし、何か悩みごとでもありますか?」

まだ会って二ヶ月しかたってない人が何をいっちょまえに、とかひねくれたことを考えつつ質問に対する答えも真剣に考えた。

「うーん、やっぱり私珍しい容姿をしてますから目立って・・・・・皆にいろいろ好機の目で見られるんですよ」

「うんうん」

「いまどき珍しい純粋な家柄?とでも言うんでしょうか。無駄に長い髪の毛にされて、持つものはほとんど和風ですし」

「はいはい」

「だからその、私はもう高校なんか行きたくないなって・・・・・」

「うんう・・・・いや、それは」

先生は何かいいかけて止めた。
30代前半だろうか。
渋さもあるがまだまだ若者のような戸惑った表情を見せる。

「これは僕の希望ですが、できるなら君に高校をやめてもらいたくない。ここは不良もいるかもしれませんが、田舎で何よりのんびりしている。みんな、君と友達になりたいだけなんだ。・・・・君が勉強をがんばりたいと言うなら、僕が手を貸すから」

そういって私と視線を合わせて、にっこり笑う。

「まだ始まって二ヶ月ですよ。これからの三年間、まだどうなるかわかったものじゃないですから」




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