赤い半纏
それにしても、もう学校が終わっていたのですか。お早うございます。
梅雨の時期にふさわしいじめじめした環境に、しとしとと柔らかく時雨が降っている。
気温もかなり低くなって、春と冬の間を思い出させる。異常気象が起こってますね。
からかさを差して路道を歩く姿はまるで昔の人のよう、といいたいところだけど、紺色のブレザーとかなり長いプリーツスカートが異様に似合わない。
学校から私の家へ行くのは歩きで20分。
ろくに舗装もされてない道路には車も人の気配もなく、あるのは私といつもよりいっそう綺麗に見える田んぼだけ。
道を教えてくれるように連なった、電柱の横を一つ、また二つと数えながら通り過ぎる。
右を仰ぎ見ると、広大な田んぼの中に荒廃した荒地が遠くに見える。
そこには、かつて誰かが住んでいたであろう小さな民家がある。
もうすっかり廃れて、そこだけセピア色に色あせてみえる。
にしても、こんなに小さな家・・・。今ではなかなかいないミニマム加減。
生きていくのにも精一杯で、住むというより・・・・おもちゃの収納箱のように中は無機質な造りとなっている。