ラブプレ☆マニア
「ミチ!」
水の中で、あたしを呼ぶ声が聞こえた。
兄、ちゃん……?
その時。
細いくせに、逞しい腕があたしを抱き上げた。
「ミチ、もう大丈夫や」
光が見える。
暗闇でもがいてたあたしを、掬いあげてくれた人。
「兄ちゃん……」
兄ちゃんに抱きしめられて、深く息を吸うと
涙が溢れた。
「怖かったな、ミチ。もう大丈夫やから」
そう言って、あたしの髪を撫でる。
今更気づいたわ、マナ。
あたし、この人がたまらなく好き。
変態で、いつも眠そうなくせにエッチの時だけめっちゃ嬉しそうで
自由で、掴みどころがなくて
何に対しても興味なさそうなくせにコスプレは大好き。
……そんな、あたしと血の繋がったお兄ちゃんが
あたしは大好き。
「好き」
兄ちゃんの腕の中で、あたしは声をあげて泣いた。
「好き、大好き、兄ちゃん」
できれば、気づきたくなんてなかった。
好きになっても、幸せになんてなれない。
この先には、光なんてない恋やから。
……だけどな?
マナもいるし、ちょっとウザイけどヤスもいる。
シンゴさんだって味方してくれるやろうし
もしかしたらヨウスケさんも応援してくれるかもしれん。
それに。
「俺も。俺もミチが好きや。すっげぇ好き。」
この温もりがあれば。
この人がいれば。
あたしは、何でもできる気さえしてくるんや。
*