ラブプレ☆マニア


デパートを出て、しばらく走って振り返る。


だけど、そこにあたしの望んだ人の姿は無くて。


「ふっ、うぅ……」


やっと、自分の気持ちに気づいて。


兄ちゃんに、抱きしめられて。


あたしは、幸せやったよ……?


たとえ、許されない恋でも。


兄ちゃんがそばにいるだけで、あたしめっちゃ幸せやったのに……。


兄ちゃんは、違った?


「すっげぇ好き」って兄ちゃんの言葉。


信じたあたしがアホやったんかなぁ……?


家に帰って、自分の部屋に行くと


布団にくるまって、泣き続けた……


*******************


ピンポーンピンポンピンポーン


気の抜けるようなチャイムの音で、目を覚ました。


泣き疲れて、寝てしまったみたいで


外はもう薄暗かった。


誰か、来たんかな?


いいや、めんどくさいし。


どうせ、兄ちゃんじゃないし。


居留守を決め込もうと思った時


ガチャガチャガチャ


玄関の鍵の音が聞こえた。


え……、お母さん?


いや、お母さんは仕事やしお母さんのはずない。


兄ちゃんでもないし……


やとすると


泥棒?!


背筋が凍るのを感じた。


ちょっと待って、あたしがいるのがバレたら何されるかわからんやんな?!


よし、布団にくるまろう!


普通に考えたらバレるのに、パニくってたあたしはとりあえずもう一度布団の中に入った。




*
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