ラブプレ☆マニア


「そういうの聞いてると、テクニックなんか関係ないと思う。テクニックがあっても相手を好きじゃなかったら、体は気持ちよくても心は気持ちよくないんや」


「………っ」


「マナ、ヤスがめっちゃマナのこと好きなんはわかってるやんな?」


マナは、ゆっくり頷いた。


「じゃぁ、ヤスを信じてみたら?」


「……っ」



「……ミチ」


その時


後ろから、落ち着いた声が聞こえて


「交代して」


あたしの肩に、手が乗せられた。


「マナ、頑張ってね。ヤスも」


一言言うと、あたしは立ち上がってその場を去った。


************


「兄ちゃーん」


「おう、おかえり」


部屋に戻ると、兄ちゃんは畳に寝転んでいた。


「どう?」


「うん、たぶん大丈夫」


「そっか」


兄ちゃんは興味なさそうにあたしから顔を背けた。


でも、ちゃんと知ってるから。


兄ちゃんは、ほんまはすごい優しくて


誰よりも周りを見てること。


だから、ヤスもシンゴさんも兄ちゃんを慕ってる。


「……兄ちゃん」


「ん?」


ずっとずっと、あたしだけを見ていてほしい。


ずっとずっと、あたしが兄ちゃんの笑顔の理由でありたい。



*
< 79 / 108 >

この作品をシェア

pagetop