ラブプレ☆マニア
「な、なんで…?!」
ミチが、俺に訊ねる。
一緒にいたいから、って言ったらミチはどうする?
……あかん、そんなんミチを困らすだけや。
「別に……」
俺は、なるべく感情を出さないように答えた。
幸い、感情を隠すことには慣れている。
だけど、手は離さなかった。
それは、想いを伝えられない俺の、密かな抵抗。
ミチが俺の気持ちに気づいたら
もしかしたら俺を好きになってくれるかも。
そんな、些細な希望。
その時。
「ミチホちゃん!」
ミチを呼ぶ男の声。
その男を見たミチの顔がウンザリしてたから、俺は思った以上に安心した。
「……誰?」
「……大沢くん。」
「おおさわ?」
ほんまに誰?
「ミチホちゃん、メール見てくれた?!」
あ?アドレス知ってんの?
「あ、うん見たよ……」
「そっか!じゃぁ、一緒に帰ろ!」
その大沢って奴はミチの左手をとった。
なに?
俺の存在は無視?
イライラした俺は、動かなかった。
ミチの体がピーンと伸びたところで、大沢はやっと俺を見た。
明らかに、俺を敵視する目。
……コイツ、本気や。
そう思った。
*