君の面影を探して
満月の叔父はこの蓮華連合の組長をしている


この極道の世界に幼い頃から親しんでいた満月はある程度その仕事の内容も知っていた

だからと言って怖いともやめさせようとも思ってはいない

ただ満月自身も組員と同じ考えを持っている

それゆえ学校、家庭で満月は孤立したのだった


満月の本当の家族は満月を見捨てた

2年前、満月の両親はここに満月を”捨てた”

少なくとも満月はそう思っている


しかし満月は今の生活に不満を抱いているわけではない

むしろ前よりも楽しいくらいだ


ここでは自分は必要とされている

みんなが自分を大切にしてくれる

だから自分もみんなを大切にできる

ここには宝物がたくさんあるのだ


2年前の満月の顔は、今とは比べものにならない程暗かった

“死んでいる”という表現がぴったりなくらい


目に光はなく、なにをしても笑うことはない

なにを言われても、なにをされてもなにも言わない

ただ黙って涙を流すだけ


それが今ではほぼ毎日怜桜と言い争っている
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