Lie & Truth ―君色番外編―

「…忘れなきゃいけない人？」

「うん…絶対好きになっちゃいけない人なの」

「…例えば？」

「ひーみつ」



えぇ？そこまで言っといて？

気になんじゃねーか。



「今日はね、前に進もうと思って…あの場に参加したの」


あ～やっぱりそういう感じだ。


「俺も似たようなモンだよ。でもアンタの逆だけどね。俺は好きな人が出来ない病なの」

「あは、なにそれ」

「夢中になれる人が出来たら楽しいんだろうなとか思うけど…でもお前見てるとそれはそれで辛そうだな。俺には向かなそうだ」


すると、留美は何がおかしいのかふふっと笑った。


「あたし達、正反対だね」

「かもなー」



そして、耳を疑うような一言を口にする。




「あたし達、付き合ってみない？」




留美には、忘れなきゃいけない想い人がいる。


俺は好きになりたくてもなかなか人を好きになれないでいる。



でも

こんなチグハグカップルがいても、俺は悪くないんじゃないかと思った。



どちらかと言えば留美は好みのタイプだし

無気力な俺には、こいつくらいグイグイ引っ張っていってくれるようなタイプが合ってると思う。



だから



「…いいけど」



軽い気持ちでその提案を受け入れたんだ。