Lie & Truth ―君色番外編―
偶然連れに“昨日お前の彼女見かけたよ”といわれたのがキッカケ。
しかも、男と歩いてたというのだ。
それは間違いなく俺じゃない。
昨日は用事があると言われて会わずに帰宅したはずだからだ。
いくら学校が違うと言っても建っている場所はそこまで離れていない為、生活圏内はほぼかぶっている。
信じがたい話だが
無いとも言い切れない所が余計に、俺の中にドス黒いモヤモヤした感情を渦巻かせた。
でも、それをむき出しにするのはかっこ悪い気がして
必死に冷静を装う。
「お前の見間違いなんじゃねーの?」
「いや~あれは絶対留美ちゃんだったよ。楽しそうにしてたけど…お前浮気されてんじゃねーの?」
ズキン…。
連れの何気ない一言が俺の胸を刃物でめった刺しにした。
なんだ…これ?
胸が…
痛い。
「は…はっ。アイツに限って…ありえねーって…」
自信は無かった。
そもそも俺達は何となくお互い、キズの舐め合い的なノリで付き合ったわけだし。
リハビリが終われば…
それまでの関係なのかもしれない。
「ちゃんと話合ってみれば?そのままにしとくのはよくねーっしょ」
「そう…だな…」
怖かった。
一緒に歩いてた男が誰かを問い詰めるのが。
もし、新しく好きな人が出来たんだって
いつものノリで明るく言われたら
それこそ俺は立ち直れない。
いつの間にか
こんなに必要としてた。
どうしていつも
気づくのが遅いんだろう。
なんとなく当たり前に一緒にいて
本当の気持ちを伝える事をいつの間にか忘れていたんだ。
言葉にしなきゃ
伝わらないのに。
ほんと…バカだよ、俺は。