Lie & Truth ―君色番外編―
高校へ進学しないと言った留美は、それから就職活動と内職で忙しくなり
俺は俺で受験を前に塾や模擬に追われ
いつの間にか二人の間に決定的な距離が生まれていた。
少し前までは毎日会っていたのに
忙しい毎日の中で、それがもう遥か遠くの事のように思えて寂しくなる。
連絡は取っていると言っても、向こうからの返事は気まぐれで、大体は俺からの一方通行。
まぁ元々留美はあんまりマメなタイプじゃなかったけど。
それでも、俺にとって
留美との唯一の繋がりは
もう、この携帯電話しかないから。
一方通行でもなんでも
繋がっていると実感したかった。
俺たちは…
きっと大丈夫。
なんだかんだで今までやって来れたんだ。
二人なら
きっと
どんな壁も越えられる。
そう信じたかったんだ。
そして、桜が舞う季節。
俺は新しい制服に身を包んで、新しい学校の門の前に立っていた。
今日という日を期に
俺は変わる。
留美との新しい一歩を踏み出すんだ!
ずっと、めったに使わない頭で一生懸命考えてた。
俺が留美にしてやれる事を。
なんて…偉そうな事言っても、地道に働いて少しでも留美の負担を軽くしてあげるくらいしか思いつかなかったけど。
ガキが稼げる額なんてたかが知れてるし、気休めくらいにしかならないだろうけど、無いよりはと思い、俺は比較的高収入のバイトを始める事にしたのだった。