Lie & Truth ―君色番外編―
「弟、病気がちだって聞いたけど…大丈夫なのかな…?」
「え?病気?そんな話聞いた事ないけど…?」
笑顔という仮面を必死に貼付けるのが精一杯の俺。
身体は脱力感でいっぱいなのに
何処に残っていたのか、ズボンの裾を掴む手には、皮膚が変色する程の力が込められていた。
独りきりの帰り道。
そこに立てているのかどうかすら怪しいくらい、足元は軽くて
人通りのない路地裏を俺はフラフラと練り歩いていた。
結局のところ
俺が今まで渡してた金は…
あいつらの仲を応援するための資金になってたってか…?
そりゃ、家追い出されて生活に困るわな。
毎日毎日、日が暮れるまでバイトしなきゃ共倒れだ。
もう…
その瞬間から
何もかもがどうでもよくなった。
何よりも
騙されていたショックの方がデカかったんだ。
あの日交わした
前に進むという約束を果たしていたのは結局俺だけ。
「………っ……ぅ…」
恋なんて、やっぱりろくなもんじゃなかったな。
人知れず涙を流しても
苦しさや胸の痛みは
何ひとつ流れてくれない。
出会わなければよかった。
こんな思いをするくらいなら…。
知らなくてよかったよ
こんな気持ち…
やっぱり
馬鹿げてる。
誰かの幸せのために
自分が犠牲になるなんてさ――…。