Lie & Truth ―君色番外編―
「ダーメ。ほら、戻るぞ」
「えぇ~~~!」
思えば彼女は
最初から少し変わっていた。
「あっ!コラ!離せよ!」
「いいからいいから♪」
同い年には見えないほど大人びているかと思えば
こんな風に掴みどころのない風のようなところもあって
「何処行くの!?」
「とぉーい所!」
「はぁ!?」
その風にさらわれた俺は
もう、この時から君の虜になり始めていたのかもしれない。
どうしてかわからないけど
目が離せないんだ。
遠い所だなんて言っておきながら、彼女が足を止めた場所はカラオケ屋からさほど離れていない、公園が隣接しているコンビニの前だった。
益々女の行動の意味がわからなくなる。
「お酒、飲みたくない?」
「俺金ねーよ」
「大丈夫!あたし持ってるからオゴるよぉ?」
企みを浮かべた万遍の笑み。
いたずら大好きです!みたいなその笑顔が何だか無償に可愛く思えて
「…しょーがねぇな」
結局逆らう事も出来ずに付き合う事にした。
金銭感覚がおかしいのか?と思ってしまうほど、かごに次々と酒やらつまみやらを放り込んでいく留美。
つーかこんな飲めねぇだろ。二人しかいねーのに…
と突っ込んでやりたかったが、彼女はとても楽しそうに買い物をしているので今のところは言葉を飲み込んでやった。