いばら姫
story1
「ありえねぇ…」
城田京平(しろた きょうへい)は目前の現状を受け入れたくないというように愕然と呟いた。
「何がですかっ?キョン様!」
京平の悩みの種である女、一条茨(いちじょう いばら)は不思議そうに顔を傾けている。
いや、まず俺がいなかったからって文化祭実行委員を押し付けやがったクラスの奴らもありえねーけど…
何が一番ありえねーって
今この女が俺の目の前にいて、同じく文化祭実行委員になってくれちゃった揚句、教室に二人きり…
マジ耐えらんねぇ!!
京平は茨が苦手…いや、むしろ拒絶反応を起こしてしまう程に大嫌いだった。
理由はいくつかあるのだが、まず一つに去年の文化祭が終わった頃くらいからストーキングまがいの事をされ続けているという事。
神出鬼没で気がついたらいつの間にか隣にいるという、下手したら怪奇現象に近いくらいの被害を被っていた。
ただのストーカーならまだ可愛いかったのかもしれない。
やっかいなのは、思い込みの激しいその思考回路。
迷惑がられているだなんて微塵にも思っていない上に、罵声すら愛情表現の裏返しだと勘違いする、超ド級の勘違い女なのだ。