いばら姫
「こんなんで良ければ毎日でも作ってきちゃいますよ!」
思いのほか喜んでくれた事に気を良くした茨は調子に乗った。
少し持ち上げるとすぐでしゃばろうとする性格は考えものだ。
「いや…そこまでしなくてもいいよ」
「なんなら次はペアのセーターなんか作ってきましょうか!?」
「ぜってーいらねぇ!!つかお前って何気やること古臭いよな…」
今時お揃いのセーターとか気違いもいいとこだ、と京平は笑う。
「えぇっ!?そうですかぁ…?」
「ははっ!まぁ俺はいらねーけど、いんじゃん?お前なら何か頷けるし!」
「それどういう意味ですかぁ!」
馬鹿にしてるでしょ!?と頬に空気を貯めて軽く睨まれるが、そんなつもりはなくただ純粋にそういう事が似合うし想像がつくという意味で頷けると言ったのだ。
しばらく茨の曲がったヘソが直る事はなかったが、どうせそのうちケロッとするだろうと思い、京平はそのまま放っておいた。
そしてその読みはドンピシャだった。
茨は昼休みにはまた当然のように京平の隣を陣取り、弁当を広げていたのだ。
いい性格してんなー…。
究極のプラス思考というか、神経が図太いというか。
自分には真似できないそんな所は少し羨ましくも思う京平なのだった。