いばら姫
「でもなんだかんだ言って、お前プレゼント攻撃と押しに弱いし案外グラッときちゃってんじゃねーの?」

「ねぇよ!!!人事だと思っててめー楽しんでんだろ!?」

「あはっ、ばれた?」

「大体、俺はあんなちんちくりんよりもっと大人っぽくて美人系で背高くてエロそうなのが好きだ!」


京平がボンキュッボンのジェスチャーをしながら茨を否定すると

ハルが口もとに手を当て、より一層企んだような笑みを浮かべて言った。


「それ、まんま梨華の事じゃね?」






「あたしがなぁーに?」

「!」


タイミングを見計らったように現れたのは

「梨華…」


「練習サボってないか監視しに来たんだけどやっぱりサボってたな~?」


綺麗なスモークブラウンのロングヘアをなびかせながら、モデル歩きで中へ入ってきた梨華は

京平と中学からの同級生で今はお嬢様が集う女子高に通っている。


見た目はお嬢様ってよりどちらかと言えばラテン系でとても箱入り娘には見えなかった。



「差し入れ持ってきたんだけど…いらなかったかな」


少し困ったような、寂しそうな表情で梨華がそう言うと、

京平が慌てた様子で

「いや食うし!」

と、梨華の持っていた紙袋を取り上げた。



「やっさしいなぁ京平くんは~太るぞー」

「うっせ!ほっとけ!」


メンバーは京平が梨華に好意を寄せている事を知っているので、ちょっとした事でもすぐ冷やかしにかかる。


ったく、小学生かよ!


…って、流せない俺も俺か。


バンドのメンバーとしては尊敬出来る彼らだが、そういう子供っぽい所には正直ついていけないと京平は日頃から思っていた。

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