いばら姫
あまりにお似合いすぎる二人をニヤニヤしながら見ていたハルが

「チャンスなんじゃね?」

と京平の肩に手を乗せて耳打ちする。


「は!?何が」

「梨華の事だよ!あれは絶対告白待ちだって!!」


気持ち悪いほどの笑顔で親指を立てながら自信満々にグーのポーズをとっている所申し訳ないのだが、ハッキリ言ってハルの目は信用できない。

彼が適当男だという事を知る前は色々恋愛相談などもしてきたのだが、二言目にはきまって


京平ならうまくいくよ!

とか

ありゃ絶対お前に惚れてるね!


なんて無責任な言葉でその気にさせておいて

いざ告白してフラれて落ち込んでいると


やっぱダメだったかぁー…。


と、だから言っただろ?ばりに言われる事が続いたため、京平はハルの言葉を信用しなくなったのだった。


「…お前のそういう言葉はもう信用しねぇ」

「大丈夫だって!!今回はマジだから!!」

「…てゆーか別に俺梨華と付き合いたいとか思ってないし。おまえが勝手に騒いでるだけじゃんか」


そう…。

そんな感情はずっと昔に置いてきた。


俺達は近くにいすぎた。

似過ぎているのだ。


だからこそ、何処までも交わる事のない平行線のように

きっと通じ合える事もないのかもしれない。


「お似合いなのになー」


ガッカリしたように肩を落として去っていくハルの背中を、京平は何処か切なそうに見つめていたのだった。

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