いばら姫
「いっ…いんですかっ!!?」


折角なので梨華のついで…とはいわないでおこう。


何故だかそんな事を思った。


「まぁーダメっていってもどーせ潜るつもりだろ?バスケットゴールの裏からとか見られたら笑っちまうし集中できないんだよ」

「…どんな目で私を見てるんですか」


さすがにそんな事しませんよと拗ねたように茨は口を尖らせる。


…どうだかね。


疑ったままの視線を向けながらも俺は

「まぁーとっとけよ」

とチケットを無理矢理茨の手に握らせた。


「ありがとうございます!絶対行きます!死んでも行きます!!」


それはただの気まぐれに違いなかったけれど

京平は得体の知れない妙な満足感に口元を緩ませた。


こんな風に、包み隠さず欲に忠実で自分自身をさらけ出せたなら、どんなに人生楽しい事だろう。


しかし京平はまだ

茨のそんな不思議な魅力に惹かれ始めている事に

気付けないでいたのだった。

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