いばら姫

俺の何処が悪いんだよー!としつこく尋ねてくるが彼は本当に気づいていないのだろうか?


付き合いが長い分ハルのうざさには他人より順応しているつもりだったけど…


「なぁーなぁー!俺の何処がいけないの!?こんなにカッコイイのに!」


…やっぱりウザイ!!


「そーゆーしつこすぎる所なんじゃねーのっ!?」


長い廊下の端から端までこんな調子でついて来られて、いい加減勘弁してくれ!といった所で京平が声を張ると

「……………」

ハルはぐっと何かをこらえるように言葉を飲み込み、肩を垂らす。




…ちょっと言いすぎたかな?


「あ…あの」


早速後悔に流されて悪くもないのに謝ろうとしてしまった、その瞬間。


「京平!一緒にまわろー!」


腕にのしかかった急激な重みのせいで京平はバランスを崩し、口からは出るはずだった謝罪の言葉の代わりに驚嘆の声が漏れた。

何事かと自分からバランスを奪った右腕に視線を向けると


「梨華!」

「えへへっ!来ちゃったー!」


そこにはバッチリお洒落を決め込んでいる幼なじみの姿があるではないか。


てっきりライブ直前とかに来ると思ってたのに…

いや、そんな事よりただの文化祭なのになんてカッコしてきやがんだコイツは…。


暖かい季節になって来たとは言え、細い手足をこれみよがしに主張する露出スタイルは確実にフライング気味だと言える。

ただでさえ存在感があるのにこんなカッコで来られては注目の的だ。

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