いばら姫
story3
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「二年三組でコスプレ喫茶やってまぁーす!みんな来てねー!」
人気の多い昇降口付近の廊下で茨はチラシ配りをしていた。
二年三組の教室は別館にあるため人が集まりにくい。
開始から数時間…
客足がいまひとつの状態だったために彼女はこうして客引きを頼まれた…というか押し付けられてしまったのだった。
「ママー!お姫様がいるよー!」
“お姫様”という言葉に敏感な茨は、母親と手を繋いでこちらを指指している小学校低学年くらいの女の子に目をやった。
女の子は目をキラキラさせながら茨のドレスに魅了されている。
(かっ…かわいーっ!!)
茨も女の子を見て目をキラキラさせた。
キョン様と私に子供が出来たらきっとこのくらい可愛いんだろうなぁ…。
「こんにちは、私はロージア王国からやってきた茨姫です。あなたのお名前は?」
「なっ、なつみです!」
「夏美ちゃんね。よかったらおひとつどうぞ」
茨は白いドレスとお揃いの生地で作った小さな籠から飴玉を一つ取り出し、それを夏美に手渡した。
「それね、何でもお願い事が叶っちゃう飴玉なの」
内緒だよ、と人差し指を唇に当てて声をひそめれば夏美の瞳はより一層輝きを増した。
「ほっ…本当!?なんでも叶うの!?」
「そう、強く願えば必ずね」
疑う余地もなく素直に感動している夏美を見ると、顔が自然と綻んだ。
昔、自分もこんな時期があったのかなぁと褪せた記憶を重ねてみる。
しかし…
「ちょっと!うちの子に適当な事吹き込むの、やめて頂けますか!本気にするでしょう!」
血相を変えた母親の怒鳴り声ですぐに現実へと呼び戻された茨は、その剣幕に驚き、
「す、すみません…」
と頼りない口調で反射的に謝罪の言葉を口にしていた。
「二年三組でコスプレ喫茶やってまぁーす!みんな来てねー!」
人気の多い昇降口付近の廊下で茨はチラシ配りをしていた。
二年三組の教室は別館にあるため人が集まりにくい。
開始から数時間…
客足がいまひとつの状態だったために彼女はこうして客引きを頼まれた…というか押し付けられてしまったのだった。
「ママー!お姫様がいるよー!」
“お姫様”という言葉に敏感な茨は、母親と手を繋いでこちらを指指している小学校低学年くらいの女の子に目をやった。
女の子は目をキラキラさせながら茨のドレスに魅了されている。
(かっ…かわいーっ!!)
茨も女の子を見て目をキラキラさせた。
キョン様と私に子供が出来たらきっとこのくらい可愛いんだろうなぁ…。
「こんにちは、私はロージア王国からやってきた茨姫です。あなたのお名前は?」
「なっ、なつみです!」
「夏美ちゃんね。よかったらおひとつどうぞ」
茨は白いドレスとお揃いの生地で作った小さな籠から飴玉を一つ取り出し、それを夏美に手渡した。
「それね、何でもお願い事が叶っちゃう飴玉なの」
内緒だよ、と人差し指を唇に当てて声をひそめれば夏美の瞳はより一層輝きを増した。
「ほっ…本当!?なんでも叶うの!?」
「そう、強く願えば必ずね」
疑う余地もなく素直に感動している夏美を見ると、顔が自然と綻んだ。
昔、自分もこんな時期があったのかなぁと褪せた記憶を重ねてみる。
しかし…
「ちょっと!うちの子に適当な事吹き込むの、やめて頂けますか!本気にするでしょう!」
血相を変えた母親の怒鳴り声ですぐに現実へと呼び戻された茨は、その剣幕に驚き、
「す、すみません…」
と頼りない口調で反射的に謝罪の言葉を口にしていた。