いばら姫
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「……何ごと?」
廊下を歩いている時点からすでにおかしいな、とは思っていたが、教室のドアを開けた瞬間、京平は目をむいた。
茨の姿しか見えない事にも驚きだが、何よりその茨が泣いていたという事が一番彼を驚嘆させた原因だった。
「な…何でもないです…」
茨は急いで頬に伝った涙を手の甲で拭う。
「何でもなくないだろ、何でお前一人しかいねーんだよ?他のやつらは?」
「……ライブ見に行きました」
「お前に留守番押し付けてか?」
茨が静かに頷くと、京平ははぁ~と深いため息をつきながら呆れた顔で言う。
「…ったく、何で断らねーかな…」
断らなかったんじゃない。
断っても聞いてもらえなかったんだ、と訴えたい所をぐっとこらえて
茨は気づかれないように拳を強く握った。
「もう…いいんです。過ぎた事ですから」
「そりゃそうだけど…。みんな気にしてたぞ、おまえが姿見せないなんて何事だってさ」
事もなげにサラッとそんな事を言ってのける京平に、何だか段々腹が立ってきた。
私の気持ちを知ってて応える気なんかないくせに
そんな事言うんだ…。
一体どういうつもりなんだろう。
どうせ
一番になれないなら…
いっそボロボロに傷つけて
突き放してくれればいいのに。
「別に…私なんかいてもいなくてもどっちでもいいじゃないですか」
「………なんだよ、急に」
いつもの自身満々な彼女はどこへいってしまったのやら…
普段はめでたい妄想しか出てこない茨の口から、そんな弱気な言葉が出るなんて夢にも思っていなかったため、戸惑いを隠せない京平。
「……何ごと?」
廊下を歩いている時点からすでにおかしいな、とは思っていたが、教室のドアを開けた瞬間、京平は目をむいた。
茨の姿しか見えない事にも驚きだが、何よりその茨が泣いていたという事が一番彼を驚嘆させた原因だった。
「な…何でもないです…」
茨は急いで頬に伝った涙を手の甲で拭う。
「何でもなくないだろ、何でお前一人しかいねーんだよ?他のやつらは?」
「……ライブ見に行きました」
「お前に留守番押し付けてか?」
茨が静かに頷くと、京平ははぁ~と深いため息をつきながら呆れた顔で言う。
「…ったく、何で断らねーかな…」
断らなかったんじゃない。
断っても聞いてもらえなかったんだ、と訴えたい所をぐっとこらえて
茨は気づかれないように拳を強く握った。
「もう…いいんです。過ぎた事ですから」
「そりゃそうだけど…。みんな気にしてたぞ、おまえが姿見せないなんて何事だってさ」
事もなげにサラッとそんな事を言ってのける京平に、何だか段々腹が立ってきた。
私の気持ちを知ってて応える気なんかないくせに
そんな事言うんだ…。
一体どういうつもりなんだろう。
どうせ
一番になれないなら…
いっそボロボロに傷つけて
突き放してくれればいいのに。
「別に…私なんかいてもいなくてもどっちでもいいじゃないですか」
「………なんだよ、急に」
いつもの自身満々な彼女はどこへいってしまったのやら…
普段はめでたい妄想しか出てこない茨の口から、そんな弱気な言葉が出るなんて夢にも思っていなかったため、戸惑いを隠せない京平。