いばら姫
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文化祭が終わって以来、茨と京平は
廊下ですれ違っても話さなければ、目すら合わさないようになっていった。
気まずい雰囲気でも流れてくれた方がまだいくらかマシだった。
今の二人の関係と言ったら会話を交わした事すらない他人に近い。
いや、下手したら存在自体知りえない他人程までにランクが下がったような気がした。
すれ違ったあとに振り返るのもいつも京平の方。
その度に
あの時手を離さなければよかったのかとか
茨の想いに答えてあげればこんな形にはならなかったのかとか
そんな事ばかりが頭を過ぎって、今もまだあの瞬間で自分の時間が止まっているような感じがしてならない。
一年前はこれが普通の日常だったはずだよな…。
こんなに…
つまんなかったっけ…?
「きょーへーっ!」
今日はバンド関係の集まりもなく、ボイトレもなかったので珍しく寄り道せずに帰路を辿っていると
同じく帰宅途中だった梨華に声をかけられた。
それにしても最近不自然なくらい梨華とよく顔を合わせているような気がする…。
「偶然だね!今帰り?一緒に帰ろうよ!」
いいとも言ってないのに彼女は有無を言わさず腕を組み出し、当たり前のように隣を歩く。
文化祭が終わって以来、茨と京平は
廊下ですれ違っても話さなければ、目すら合わさないようになっていった。
気まずい雰囲気でも流れてくれた方がまだいくらかマシだった。
今の二人の関係と言ったら会話を交わした事すらない他人に近い。
いや、下手したら存在自体知りえない他人程までにランクが下がったような気がした。
すれ違ったあとに振り返るのもいつも京平の方。
その度に
あの時手を離さなければよかったのかとか
茨の想いに答えてあげればこんな形にはならなかったのかとか
そんな事ばかりが頭を過ぎって、今もまだあの瞬間で自分の時間が止まっているような感じがしてならない。
一年前はこれが普通の日常だったはずだよな…。
こんなに…
つまんなかったっけ…?
「きょーへーっ!」
今日はバンド関係の集まりもなく、ボイトレもなかったので珍しく寄り道せずに帰路を辿っていると
同じく帰宅途中だった梨華に声をかけられた。
それにしても最近不自然なくらい梨華とよく顔を合わせているような気がする…。
「偶然だね!今帰り?一緒に帰ろうよ!」
いいとも言ってないのに彼女は有無を言わさず腕を組み出し、当たり前のように隣を歩く。