いばら姫
「おそらくコスプレ喫茶的なのになりそうだな、このままいくと」
「シンデレラ城じゃなくて残念ですぅ…」
「まだそんな事言ってんのかよ。明日クラスで話し合いな!ついでに俺明日練習あるから放課後は30分しか残れないんでよろしく!」
実行委員にライブのリハや音合わせ。
何気に几真面目な性格の京平は、どれも手を抜く事が出来ずに慌ただしいスケジュールをこなすハメになっていたのだ。
「…練習何処でやるんですか?」
残念そうにうなだれながらもぬかりない茨のチェックが入る。
「死んでも教えねぇ。ぜってー押しかけて来るだろお前」
「そっ…そんな事しませんっ…」
「…目が泳いでるぞ」
学校内ではまだ許せるにしてもプライベートな時間まで付き纏われるのだけはなんとしても避けたい。
それからもしばらくはしつこく聞かれたが、京平が断固として口を閉ざしていると、ようやく彼女は諦めてくれたようだった。
普通なら1~2時間もあれば終わるアンケート集計だが、なんとかクラスで話し合いが出来る状態にまで持っていけた頃には、もう外は真っ暗になっていた。
まぁ、事あるごとに話が脱線してなかなか会話が成り立たなければ当然の結果だ。
京平は思った。
こいつじゃない他の誰かが実行委員ならどんなに楽だったろう…
と。
「っあ~もう7時かよ~!誰かさんが余計な話ばっかして足引っ張りやがるから遅くなっちまった」
「二人の未来についての話がなんで余計なんですかぁ!大事な事ですよっ!」
「…勝手に俺をお前の妄想に出演させんな。ギャラ請求すんぞ」
「妄想なんかじゃありません、予知能力です!」
目をキラキラと輝かせながらグッと拳を握り、自信満々にそう言い切られると、なんだか本当にそんな気がして来て、危うく受け入れてしまいそうになる。