恋しぶき〜先生と泳いだ季節〜
「なお!やめなよ。また女子部員減らしたら、渡センセも黙ってないって!!」
同じく既に制服姿で隣にいたもう一人の3年女子の先輩、中川実佳<なかがわ・みか>先輩が、野澤先輩の右腕をしっかりと掴んだ。
中川先輩は無心に練習に打ち込むタイプ。
その練習量の賜物か、平泳ぎの実力は県内トップクラス。
でも普段は声を荒げるような人じゃないはず。。。
状況から考えて、どうやら愛は野澤先輩にぶたれたみたい。
でも、なんで…?
「実佳は黙って!江藤、今までの女子の中では一番許せないから。」
中川先輩の腕を振り払う、野澤先輩の低い声。
こっちまでその怒りが伝わってくる。