恋しぶき〜先生と泳いだ季節〜
「都築さん!」
私を呼ぶ声に振り返ると、水着姿の川崎さんがいた。
「あれ?一色先輩だけ泳いでる…。江藤さんは?」
「うん。週番だから、後からくるよ。」
「そっか。一色先輩も江藤さんもすごく頑張ってるね。私も頑張らなきゃ。」
そういう川崎さんは、タイムは全然らしいけど、50m泳げるようになっていた。
渡先生の特訓効果、かなりすごいよ…。
「おっ!1年3人衆揃ったな!じゃあ練習始めるかぁ。」
気付くと、渡先生と山田くんもプールサイドに姿を現していた。
渡先生は、大きなボードを転がしてきた。
よく見ると、一周一分の大きな時計。
「体操しながら聞けよ。みんな25m以上泳げるようになっただろ?せっかくちょっとでも泳げるようになったんだから、その泳ぎを身体に叩き込む練習をする。」
先生は、真剣な顔で私達を見回す。