恋しぶき〜先生と泳いだ季節〜


渋々プールに入って、渡先生からもらった黒いゴーグルをつける。

そして秒針をにらむ。


3、2、1…。


5秒経ったと思ったところで、私はプールの壁を蹴った。





ああ…。

まだあと5回残ってる。

もう息がかなり荒い。

こんなことで、泳ぎを叩き込むなんて…、無理だよ…。




「…お。リオ!」



誰か、私を呼んでる…?


5本目の25mを終えて、私は自分の背丈ギリギリの水深に溺れそうになりながらプールサイドにしがみついた。



「莉央!」



やっぱり、私の名前。

でも、まだ愛は週番で練習に来てないハズだし、そもそも、この声、男の人…!?


< 122 / 514 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop