恋しぶき〜先生と泳いだ季節〜
「俺も『楽しい』って言ってみたいから。」
その一言を残して、山田くんはプールに入った。
なんだろ…?
すごく切ない表情だった。
山田くん、何か悩みを抱えてるんじゃないかな?
もしかして、ずっと…?
入部してからしばらく経つのに、全然気付かなかった。
…てか、自分の泳ぎを覚えるのに精一杯で…。
「おーい、莉央!いつまでストレッチやってんだ?山田はアップ始めてるぞ?」
気付けば渡先生が帰ってきていた。
「あ…、すみません。」
先生の言葉にハッとして、私はプールに向かおうとした。