恋しぶき〜先生と泳いだ季節〜
「…山田?すごいシケた顔してたからな。俺が鍛えてやろうと思って。山田が莉央に何かしたのか?」
先生はますます心配そうな顔になった。
「いや!そんなんじゃないです。ただちょっと気になって…。」
私は必死で否定した。
すると先生の表情は少しやわらいだ気がした。
「そっか、莉央も心配か。あいつの暗い顔、ちょっと気になるよな。何とかしてやりたいんだけどな。」
先生も…、山田くんが心配だったから、無理にでも水泳部に入れたんだね。
何か、山田くんの中で変わればいいと願って…。
「でも莉央はとりあえず自分の泳ぎを心配しろな。早くプールに入るっ!」
先生はいつものニカッと笑った顔になって、私の背中を押した。
「わ…っ!」
ちょっと!
滑りそうになったし!
…てか、先生が引き止めたんじゃん!