恋しぶき〜先生と泳いだ季節〜


私は野澤先輩に言われるまで自分の動きが止まっていたことに気付かなかった。


とりあえずさっきまでのトレーニングを再開しなきゃ。


えーと…

先生からもらった冊子を慌ててめくる。




野澤先輩は両足を前に伸ばして座っていた。



「なんかさ、みんな変わっていってるよね。」



遠くを見つめながら、ポツリと野澤先輩が言った。



「変わってるって、何がですか?」



筋トレを再開した私は声を出すのもキツイんだけど、それでも野澤先輩が言ったことが少し気になって、声になったかならないかの返事をした。



「………」



あれ?


先輩からの返事がない。

私の言葉、やっぱり聞こえなかったかな?


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