恋しぶき〜先生と泳いだ季節〜



「莉央!」



昼休みが終わって、掃除の時間。


梅雨の合間の晴れた日、廊下を掃き掃除していた私に、渡先生が声をかけた。



「あ、先生。」


私はつい、ほうきを持つ手を止める。


「今日、1年は部室集合な!登山の打ち合わせするから。」


先生は事務的に用件を伝えた。


「はい、分かりました。」


「江藤にも言っといてな。」


「はい。」


「ところでさ…」


「はい?」



真面目な顔してた先生は、急に優しい顔になった。


私が一番安心する、先生の表情。


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