恋しぶき〜先生と泳いだ季節〜
「遅いぞ、橋本!とりあえず座れよ。」
橋本先輩は先生にしおりを渡されると、端に座っていた山田くんの更に隣の、端っこの空いている椅子に座った。
「橋本に来てもらったのは…、一番に県予選敗退したからだ。」
「ちょっと先生、そんな紹介の仕方、ないっすよ~。」
すかさず先生にツッコミ入れる橋本先輩。
「まあ…、コイツも登山参加決定だから!先輩としてアドバイスしてもらおうと思ってな。」
先生はそう言って橋本先輩に手招きした。
嫌々ながら、橋本先輩は先生の横に立った。
「みんな、富士山登ったこと、ないよなぁ?正直、思ってたより過酷だから!『絶対登りきる』って気持ちを強く持ってないと、頂上にたどり着けない。それだけは覚えといて!あとは、このしおりの通り!以上!」
『言い切った!』…って顔の橋本先輩に対して、『おいおい』…って顔の渡先生。