恋しぶき〜先生と泳いだ季節〜
「でもさぁ、渡先生、部内恋愛容認派なんだね?」
手を振る私の横で、いきなり愛が話しかけてきた。
「え?愛、どしたの?」
私はびっくりして手を止めて愛の方を見た。
「…てことは、莉央にもチャンスありだね♪」
愛は、意味深な笑顔を浮かべた。
「え?ちょっと待って、全然分かんない!」
「言ったじゃん?『私が周りを何も考えてないと思ったら、大間違いだよ』って。ちゃーんと莉央のことも見てるんだからね!誰のこと考えてるか、すぐ分かるんだから。」
訳の分からない私に、愛は得意気な顔で言った。
愛が言いたいことは…、何となく分かる。
分かるけど…!
私、渡先生に恋なんてしてない…。