恋しぶき〜先生と泳いだ季節〜
「あれ?莉央?まだいたのか?」
ドアが開いて明るくなった方を見ると、渡先生が立っていた。
「…先生?」
「カギ締めようと思って。もう解散してからかなり経ってるぞ?早く帰れよ。」
先生の声は、いつもの優しい声。
「はい…。」
小さな声で返事して、私は椅子から立ち上がった。
部室に入った時は、外はすごく明るかったのに、今ドアの向こうに見えるのは夕焼け。
ああ、時間が経ったんだ…って思った。
先生のいるドアの方に歩いてくる途中、
トン!
…と、少し床が盛り上がっている箇所につまずいた。
と同時に、身体が前のめりになる。