恋しぶき〜先生と泳いだ季節〜
「ほら、立てるか?」
先生は、私を起こしてくれた。
「ありがとうございます。」
私はうつむいて小さな声でお礼を言った。
「おう。またこけないように、気を付けて帰れよ。」
先生の声が、いつにもまして優しく聞こえる。
私は軽くおじぎをして、急ぎ足で部室をあとにした。
嬉しいはずなのに、
逃げたくなった。
先生の顔が、まともに見れなかった。
まだ…心臓がドキドキいってる。
どうすればいいのか、分からない。
先生の顔を、どんな顔で見ればいいのか、分からない…。