恋しぶき〜先生と泳いだ季節〜
「大丈夫?川崎さん。何か飲み物、買ってこようか?」
私は、バスの中に残った苦しそうな川崎さんを放っておけなかった。
「うん…。迷惑かけて、ごめんね…。」
川崎さんは辛そうにうつむいたまま小さな声で言った。
いや…
『川崎さんを放っておけない』というのは、私の心の中での言い訳なのかもしれない。
正直、私は他のメンバーの中に入るのが億劫だった。
まだ愛は私と口を聞いてくれない。
それどころかさっきのバスの中では、一番後ろの席で渡先生を独占してずっと話し込んでいた。
どうせ、この自由行動の時間だって…