恋しぶき〜先生と泳いだ季節〜
「高山病の可能性があって、リタイア勧められたんでしょ?なのに、それでも『登りたい』って訴えてた。」
「うん…。なんか必死だったね、私。」
そう。
あんなに気持ち悪くてあんなにフラフラしてたのに、
私は登ることしか考えてなかった。
自分の中の何かを変えようとして――。
でも、
登り終えて、何か変わったかな?
あんまりよく分からない…。
「私ね、下山しながら色々考えてたんだ。」
川崎さんは目線を窓の外から私の顔に移した。
「この強化合宿って、いわば強制じゃない?強制されてやっていることって、結局嫌々やってるから、苦しくなったらすぐ止めたくなる。」
……???