恋しぶき〜先生と泳いだ季節〜
年の瀬も近い、2学期の終わりのある日。
私は水泳部の練習の後に渡先生に数学の質問をしていた。
制服に着替えた私は、まだプールサイドのベンチで2年生の練習を見ている先生の隣に座った。
温水プールの水面からは、かすかに湯気が立っている。
だけど
プールサイドのガラス窓から見える風景は、葉が枯れてしまった木とその枝を揺らす強い風。
なんだかミスマッチにも思える光景を、私はただただぼんやりと眺めていた。