恋しぶき〜先生と泳いだ季節〜
先生は、そのゴーグルを私に差し出した。
「目は開けた方がいいけど、裸眼で開けたら目の負担になるからな。だから、目を開ける時はゴーグルをしろ。俺のをやるから。」
うそ…。
でも、もらうなんて…
「もらうなんて、できません…。」
すると、渡先生は微笑んだ。
「いいよ。これ、買ったのはいいけど、調整してもきつくてな。都築ならぴったりだろ?それに、ゴーグルって高校生にとっては意外と高いんだぞ。」
そう言って渡先生は、私の右手にゴーグルを握らせた。