恋しぶき〜先生と泳いだ季節〜
愛と二人で廊下を通って帰路につこうとした…その時だった。
たまたま私達の通ろうとする廊下の窓が開いていて、そこに強風が吹き込んだ。
そして風と共に…、
「うわぁぁぁ~!」
男性の奇妙な叫び声と大量の紙が廊下に舞い込んだ。
その光景はまるで散り遅れた桜の花びらのようだった。
「「何?今の声…」」
でも、これは花びらじゃなくて、紙。
落ちてしまえば、それほどキレイではない。
私と愛はばらまかれた紙の前で、驚いて立ち止まった。
「あっ!おい、君達!紙、拾ってくれないか?」
先程の奇妙な声の主が、廊下の窓から顔を出して、こっちに話しかけてきた。
見た感じ、教師みたい。
30代前半ってトコかな…?
ハキハキしてて妙に若々しい印象。
顔の作りは深くて、そこそこイケメン…なのかな。
青のジャージ上下に水色の帽子が、割と似合っている。
その帽子には、
『桃川北高校水泳部』と赤い文字で書いてあった。