恋しぶき〜先生と泳いだ季節〜


渡先生は後ろを向いて、教室から出て行こうとした。


…が、

急に何か思い出したように、私の方に振り返った。



「…都築。テスト前に時間潰して悪いけど…、ちょっとだけ、いいか?」



振り返った先生は何だか不安げな表情。


「…はい?」



その先生の顔を見て、私は過去問をもらった嬉しさから来ていたニヤケ顔を少しこわばらせた。



なんだろう…?



先生は、厳しい時もあるけど、だいたいはすごく楽しそうな笑顔を見せてくれる。


だけど時々…、

私をすごく心配そうに見てる時があるように思う。


初めて水泳部の活動に参加した時とか、

プールに一緒に潜った時とか…。



今も、その時と同じ顔をしている。




「都築。水泳部に入って、後悔してないか?」


「…え?」




『後悔』って…?


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