恋しぶき〜先生と泳いだ季節〜


どう返したらいいか分からない顔をした私に、先生はゆっくりと話し始めた。



「俺、勢いで都築を水泳部に誘ったけど、初めてプールに行った時に都築の不安そうな顔を見て、後悔し始めた。」



先生と二人きりの教室は窓から夕日の光が入ってオレンジ色に染まっていた。



「いつ都築が『辞める』って言い出すか、本当は怖かったんだよな。無理矢理、数学の勉強をエサに都築を繋ぎ止めてた。」



オレンジの光に染まった先生の顔は、とても切なそうだった。



「でも、もし都築が嫌なら、都築のためにならないんじゃないかって考え始めた。」



でも、口調はとても穏やかで…

いつものニカッと笑う先生でも、練習の時の厳しい先生でもなかった。



「最近お前、俺の言うことちゃんと聞いて、水泳部員として頑張ってる。だけど、それって…、、、俺のためなんじゃないのか?」


「…先生の、ため?」



私が…

先生のために部活頑張ってるって…、言いたいの?


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