恋しぶき〜先生と泳いだ季節〜
「そっか。分かった!じゃあ、桃北水泳部1年の勉強会兼親睦会ってことで♪みんな好きなの頼んでね!」
愛は一転、満面の笑みでメニューを配り始めた。
今日もピンクのグロスがキラキラ光っている。
愛のグロスの反射なのか、それとも横の全面ガラスの窓から入る日差しなのか。。。
山田くんは愛からメニューを受け取りながら、またまぶしそうな顔をした。
「江藤さん、ここの訳、間違ってるよ。過去形にしなきゃ。」
「え!?うそ?」
愛は今、一生懸命教科書の英語をノートに日本語訳してるところ。
川崎さんは、向かいに座っている愛の英語の勉強を見ていた。
上下反対に書かれた愛の文字を、時折見づらそうにチェックしている。
「ほら、ここ。文脈から考えても、現在形じゃおかしいって。」
川崎さんは、愛のノートの下の方を指差した。
「あ!ホントだ!!ありがとう、川崎さん。」
愛は自分の間違いに気付いて、いつもの笑顔で川崎さんにお礼を言った。
「ううん。あとはだいたい合ってると思うよ。」
川崎さんはドリンクバーのホットミルクティーのカップに口をつけて言った。