色恋花火
「あっ嘘やと思ってんの!?ほんまやから!!」

「あはははっ!」

「何がおもろいねんっ」


ドツボにはまり、笑いは益々止まらなくなった。

何故か修二の話し方がこのときは笑いのツボをとことん突いてきたのだ。


「だって!なにそれ~!変なお父さん~!」

「おまっ…俺の事はえぇ!親の事を悪く言うなっ」


冗談っぽく言いながら、修二があたしを後ろからガッシリと腕で捕まえ、髪の毛をぐしゃぐしゃと掻き交ぜてくる。


「キャーッ!髪の毛が崩れるっ!!4500円もかけたのにぃ!!」

「ちょっと崩れてた方がかわえーって」

「どーゆー意味っ!?」


あたしが拗ねたようにキッと睨みながら後ろを振り向くと、今度は修二が腹を抱えて笑い出した。

そんなに変な頭になってしまったんだろうかと一瞬心配になるが


「香里奈ツッコミ出来るようになってるやん!」

「あ……」


言われて気づいた。


修二と話しているとなんだか初めて会った気がしなくて、人見知り気味なあたしでさえ、いつの間にか緊張がほぐれて、消えていたのだ。

そのせいで少しノリが移ったのかもしれない。


影響されやすいあたしの事だ、珍しい事じゃなかった。

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