からふる


みんなの腕が、だらーんとのびた。


 「・・じゃぁ、聞いていいですか?
 何でオレらをシメるんすか?」


勇志くんが口を開いた。
殴られたあとが、痛々しく頬に残っていた。

しばしの沈黙が流れる。

 「ムカついたんだょ。お前らは教室で自由にしてる。
 けど、オレらは受験とかがあって、そんなことできねぇ。
 何か、1年前に戻ってみたくなって、やり直したくなったんだ・・・」

遠い目・・・。
きっと、もう一度やりなおして、しっかり勉強しなおしたいんだ・・・。
みんな、問題を抱えてるんだ。
痛みを知らない人なんていない。
みんな、心の傷を抱えながら生きてるんだ・・・。
でも・・・・。


 先輩。過去には、一生戻れません。
 O月O□日。今日には、一生戻れないんです。
 いまさら悔やむのは、もう、何にもならない。
 なら、悔やんで後輩にあたるより、今を進まなきゃ。
 歩いていかなきゃ。
 今この瞬間は、今しかないんです。
 さ、こんなこと、やめましょ?
 1,2年の勉強なら、少しは教えることできますし。
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