からふる

 「お前、動きすぎ」
 え・・・。

思わぬ言葉に、あわてて振り返る。

 「ボールのかごも、ゼッケンの洗濯も、タイマーも、かぎ閉めも。お前は、働きすぎなんだょ」

 「オレらは見てたぜ。最後の女子が、帰るとこ。お前が帰っても、お前には危害ねぇのに」

・・・・・
見ててくれたんだ。
私が一人で仕事してること・・・。

 「オレらは、お前がずっと一人でがんばってたこと見てるし、たまには、ほかのやつにやらせれば?」

そう言ったのは、勇志くん。

ありがとう。
私の努力は、やっと、ここで報われた。


本来なら、1年がやる、ボールのかごの出し入れ、ゼッケンの洗濯、タイマーの設定。

私はすべてを自分で負った。
< 7 / 125 >

この作品をシェア

pagetop