Far near―忍愛―


「お前は俺の親友だしな、別に居座ってくれても全然構わねーんだけどよ」

「……何さ」

「…流石に男と同じベッドに寝る趣味は俺にはねーぞ」

シングルベッドに男が二人並んで寝ると、恐ろしいくらい身体が密着して想像以上に寝心地が悪かった。


「ふっ…全く同感だ。俺もモアイかなにかと寝てる気分だよ」


そもそも何故そんな事になっているのかと言うと、お互いにベッドで寝ると言い張ってどちらも引かなかったからこうなったという単純な理由なんだが

俺は曲がりなりにも一応お坊ちゃんなので

布団のような固い所では眠れないというか寝たくない。


居候の身である以上贅沢は言えない、と思いつつ。

毎日のように佐和子の柔らかい身体を抱きまくらにしていた俺としては、ゴツゴツした岩のようなものが隣にあるとどーにもこーにも落ち着かなかった。


家に帰らなくなってそろそろ一週間が経とうとしているけれど、慣れるどころか恋しさはどんどん募るばかり。

18年もの間に染み付いたこのヘタレ精神はそう簡単に変えられるものではないという事を俺は痛感していた。

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