Far near―忍愛―
首元の手はそのまま、俺は先を行き急ぐかのように佐和子のスカートをめくりあげ、下着だけを剥ぎ取ると、何も準備の調ってない場所に無理矢理自身を深く沈めた。
「ひっ…!ぃ…!!」
その衝撃と激痛に佐和子の顔は更に歪んでいく。
「き、つ…っ…」
下手に動けばこっちがすぐに果ててしまいそうなくらい、慣らしていないそこは狭くて
同化していく鼓動も温もりも
悲しい程に暖かかった。
引き裂いてしまうつもりなのかというくらい何度も何度も貫いて
その度に、悲痛な叫びと切ない喘ぎが入り交じったような声が、微かな水音とぶつかり合う肌の音に紛れてこの、闇に包まれた空間に妙に大きく響いていた。
今この瞬間を記憶に焼き付けようとしているのは
むしろ俺の方なのかもしれない。
この繋がりを解いてしまえば
もう二度と会えないような気がしたから
せめてこの痛みを忘れないように
繰り返し繰り返し刻んでおこう。
愛してる。
もうそんな言葉は俺達の間には必要なかった。