サラリーマン讃歌
明らかに年下であろう男に深々と頭を下げている俺は、彼女達にとればいい話のネタなのだろう。
しかし、久保はそんな俺を見ても何か口を開くでもなく、ただ無表情で見ていた。
しばしの沈黙の後、漸く久保が口を開いた。
「俺なんかより梓に謝ってあげて下さい」
「そのつもりだよ……でも、お前の彼女を傷付けてしまったから、まずお前に謝りたかったんだ」
「俺は……正直梓を傷付けた事は許せませんけど……」
目はテーブルを見据え、眉間に皺を寄せながら、さも不機嫌そうに俺に語りかける。
「……でも、そこまでバカ正直に素直に謝られたら、怒りも失せますよ」
困惑したかの様に苦笑しながら俺の顔を見ている。
「だから、ちゃんと梓にさえ謝ってくれれば、俺はいいですから」
久保は口の端を吊り上げフッと笑うと、また俯いた。
「本当に桜井君は子供なんだから」
高嶋は俺達の遣り取りを静観していたが、雰囲気が和らぐといつものように俺を茶化してきた。
「……すまん」
「もういいですから。じゃ、今からは気持ちよく飲みましょう」
「そうだ、そうだ。おこちゃまの直哉はほっといて、仕切り直すとするかあ」
そう言うと高嶋と久保は、お互いのグラスを音をたててぶつけあった。
しかし、久保はそんな俺を見ても何か口を開くでもなく、ただ無表情で見ていた。
しばしの沈黙の後、漸く久保が口を開いた。
「俺なんかより梓に謝ってあげて下さい」
「そのつもりだよ……でも、お前の彼女を傷付けてしまったから、まずお前に謝りたかったんだ」
「俺は……正直梓を傷付けた事は許せませんけど……」
目はテーブルを見据え、眉間に皺を寄せながら、さも不機嫌そうに俺に語りかける。
「……でも、そこまでバカ正直に素直に謝られたら、怒りも失せますよ」
困惑したかの様に苦笑しながら俺の顔を見ている。
「だから、ちゃんと梓にさえ謝ってくれれば、俺はいいですから」
久保は口の端を吊り上げフッと笑うと、また俯いた。
「本当に桜井君は子供なんだから」
高嶋は俺達の遣り取りを静観していたが、雰囲気が和らぐといつものように俺を茶化してきた。
「……すまん」
「もういいですから。じゃ、今からは気持ちよく飲みましょう」
「そうだ、そうだ。おこちゃまの直哉はほっといて、仕切り直すとするかあ」
そう言うと高嶋と久保は、お互いのグラスを音をたててぶつけあった。