サラリーマン讃歌
第十一章
~初稽古~
次の日の日曜日である午前中に、劇団の稽古があった。既に梅雨入りして一週間程経っている今日は、昨日の天気とは打って変わって雨であった。
正直、稽古どころではなかったのだが、今回が初めての稽古の日ということもあったので、重たい足を稽古場へと向けた。
公演直後などは週一回の稽古となるので、昨日の夜は休みだったのだ。
「おはようございます」
俺が稽古場に着くと、既にほとんどのメンバーが揃っていた。
稽古と云っても、今日は筋トレと発声練習、そしてシュチュエーションを決めての芝居の練習と軽めの内容だった。
精神状態としては最悪だったのだが、やはり昔自身が熱中したほど好きな芝居をしていると、その時だけは嫌な事も忘れられた。
練習を終え、皆が軽く談笑をしている横で俺は黙々と帰り支度をしていた。
流石に皆と笑い合える程の心の余裕はなかった。
「どうした、直哉。こっち来いよ」
座長がそんな俺を見て声をかけてくる。
「悪い。今日はちょっと用事があるんだ」
「なんだ。これとデートか?」
そう言って、大きな小指を立て下卑た笑い顔を作る。周りのメンバー達も俺を茶化すように囃立てる。
正直、稽古どころではなかったのだが、今回が初めての稽古の日ということもあったので、重たい足を稽古場へと向けた。
公演直後などは週一回の稽古となるので、昨日の夜は休みだったのだ。
「おはようございます」
俺が稽古場に着くと、既にほとんどのメンバーが揃っていた。
稽古と云っても、今日は筋トレと発声練習、そしてシュチュエーションを決めての芝居の練習と軽めの内容だった。
精神状態としては最悪だったのだが、やはり昔自身が熱中したほど好きな芝居をしていると、その時だけは嫌な事も忘れられた。
練習を終え、皆が軽く談笑をしている横で俺は黙々と帰り支度をしていた。
流石に皆と笑い合える程の心の余裕はなかった。
「どうした、直哉。こっち来いよ」
座長がそんな俺を見て声をかけてくる。
「悪い。今日はちょっと用事があるんだ」
「なんだ。これとデートか?」
そう言って、大きな小指を立て下卑た笑い顔を作る。周りのメンバー達も俺を茶化すように囃立てる。